8.22企画『さくらんぼ畑』がTheater E9 Kyotoで上演
2022年11月17日
俳優・杉江美生さんが主宰する8.22企画によるチェーホフ原作『さくらんぼ畑』の公演が、京都のTheater E9 Kyotoで2022年10月28日~30日にかけて行われました。この『さくらんぼ畑』は、チェーホフの有名な戯曲『桜の園』の新訳として上演されたもので、定番の戯曲に新しい光を当てる試みとしても注目されました。杉江さんは、ニューヨークで演劇メソッド(チェーホフ・テクニック)を学び、俳優が演技する技量の重要性を感じていたということで、今回はオーディションで選ばれた幅広いバックグラウンドの俳優が役を担い、チェーホフ・テクニックを取り入れた稽古を行って公演にのぞみました。
物語の舞台は革命前夜のロシア。社会が多くの矛盾を抱えて大きく動こうとする中、過去の栄光にすがり、社会の荒波にもまれて没落していく貴族の姿が描かれます。
舞台のセットは、色彩をおさえたシンプルなものでありながら、力強い美しさが漂い、重苦しい歴史の存在が浮かび上がります。俳優の演技は、発声および身体の使い方ともに、明瞭で強い表現性があり、そこに演劇メソッドの成果が見て取れるように思いました。俳優によって「生」で演じられる演劇の魅力と醍醐味が存分に伝わってくる舞台となりました。
『さくらんぼ畑』公演より 場所:Theater E9 Kyoto 撮影:村上信六