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活動報告

田中秀介 個展「馴れ初め丁場」が開催されました
2021年11月4日

現代美術家の田中秀介さんの個展「馴れ初め丁場」が、京都府南丹市の八木町にあるかつての酒蔵、旧八木酒造跡地にできたオーエヤマ・アートサイトで開催されました。オーエヤマ・アートサイトは、京都にある高級デニッシュで知られるグランマーブル社が持つ現代美術ギャラリーGallery PARC(ギャラリー・パルク)が運営する現代アートのためのスペースです。日本酒を仕込む大きな木桶やさまざまな道具類がそのまま残された酒蔵の空間の至るところに、田中さんによる20点の絵画が展示されました。

田中秀介さんは、1986年和歌山県生まれで、2009年に大阪芸術大学美術学科油画コースを卒業した現代美術の画家で、現在大阪を拠点に、現代の日常的な空気感を独特の感性でとらえる作品で大変注目されています。昨年は生まれ故郷にある和歌山県立美術館で個展が開催されました。

今回展示されている作品は、展示空間にあわせて新たに作られた新作とこれまで描きためてきた作品で構成されています。酒蔵の空間は、現代アートを見せる場所として使うために新しく壁を立てたり壁面を塗装し直したりすることは一切なく、酒蔵として使われてきた状態がそのまま継承されており、部屋は元の用途に合わせてサイズや天井高もさまざまです。田中さんは、いろいろなサイズの部屋が1階と2階にわかれて入り組み、いたるところに道具が無造作に置かれている空間や壁面に漂う酒蔵ならではの趣と、自分の作品との響き合いを目指し、来訪者が古い酒蔵が醸し出す伝統的な建物の懐かしさや美しさを感じ取りつつ、自然と作品が映し出す少し非日常性の風景に触れていくようなゆるやかな構成と配置を考えたのだと思いました。

古い日本の映画を見ているような昭和初期の時代の空気が感じられる空間の中で、現代的な絵画の面白さが際立ってみえる、空間とアートの組み合わせの妙を十分に堪能することができた展覧会でした。