クラウドファンディング助成第1弾 劇団 座・一座「罪人こぞりて」が開催されました
2022年7月30日
アーツサポート関西は今年度から新たにクラウドファンディング助成に取り組んでおりますが、その支援先第1号となる劇団座・一座さんの公演「罪人こぞりて」が、6月3日~4日に、大阪中崎町にあるスペースMOVE FACTORY STUDIOで開催されました。
アーツサポート関西のクラウドファンディングは、公益財団法人の取り組みとして国内でも先駆的なもの。公募による審査で採択されたプロジェクトに対し、寄付集めのための特設サイトを設けてオンライン等で寄付を集め、集まった寄付を助成金として交付します。
アーツサポート関西では、これまで関西の芸術文化振興のためにみなさまからお寄せいただいた寄付をプールし、それを原資として、戦略性をもった公募を行い、審査で採択されたアーティストらに助成金として支援してまいりました。一方、このクラウドファンディングでは、水準の高い公演や展覧会などのプロジェクトに対して寄付を募集し、支援を行うもの。みなさまの共感の度合いが支援につながるいわば「共感型」の支援ともいえます。
座・一座さんの公演「罪人こぞりて」は、サスペンス的なドラマ仕立ての演劇。果たして「犯人は有罪か、無罪なのか?」一概に判断しづらい事件について、犯人役、取り調べの警官役、弁護士役、被害者役らが再現ドラマ風に演じ、それを見た観客にあたかも陪審員のように有罪か無罪かを投票してもらうという、観客参加型のお芝居です。座・一座さんが近年取り組むシリーズもので、これまでYoutubeでも何本か発表されてきました。
今回の公演のストーリーは、仕事ができる「あこがれの」先輩と同居することになった主人公と先輩との関係性の物語。仕事で失敗し打ちひしがれて徐々に人間的な魅力を失っていく先輩に対し、自らの「あこがれ」の水準を強要し、精神的に追い詰め、死に追いやってしまいます。自ら選んだ死なのか、他者に強要された死であるのか、倫理のはざまが描かれます。
演じたのは、幸野舞、高田果奈、江上真奈のいずれも若手の3人の女性たち。場面は緊迫感をもって進行し、観客は時間を忘れて舞台にひきこまれていきます。
50人ほどの観客席は平日の夜にもかかわらず満席。テレビや動画配信とは違い、生身の俳優が演じることで生まれる舞台の緊張感が、演劇の醍醐味を感じさせてくれました。ちなみに、観客の表決結果は、「有罪」でした。
クラウドファンディングにご支援いただいた方々に心より感謝申し上げます。