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活動報告

下鴨車窓 #12 漂着(island)(香港・水泊劇場、マカオ・Macau Experimental Theatre、京都芸術センター、八尾プリズムホール他)
2015年6月15日

活動概要: 京都を拠点に活動する小劇場系の劇団・下鴨車窓のアジアツアー。現地でシンポジウムに参加するなどアジアの演劇人との対話も積極的に行った。

下鴨車窓「下鴨車窓#12 漂着(island)」
下鴨車窓「下鴨車窓#12 漂着(island)」

スタッフの視察報告:  この作品は、劇作家・演出家の田辺剛の新作で、香港とマカオの演劇祭に招待されて上演されたほか、国内でも京都、大阪、三重、東京で上演されました。芝居は2つのストーリーが交錯しながら進行します。1つは、映像作家が小さな島を舞台にした新作を作ろうとする流れ、もう1つは、この映像作家が書いている脚本らしきもの。そこには孤島に暮らす元建設会社の社長だったらしい男とその妻、それにこの夫婦の見張り役のような若い男、船で島に渡ってきた女が登場します。両方のストーリーに出てくる2組の妻と若い男は、同じ役者が演じており、舞台の上では、他方のストーリーの進行中に、もう1つのストーリーの登場人物が残っていたりして、舞台上での時間と空間が複雑に錯綜します。同じ役者が複数の人物を演じ、現実と虚構が交錯していくこの劇は、注意深く見ていないと筋が追えなくなりそうですが、限られた舞台上で、たった5人の役者によって、これだけの時間的、空想的な広がりを表現している点は、いわゆる「小劇場演劇」と呼ばれる日本的な演劇形態の素晴らしさが存分に発揮されていると感じました。(視察日 6/15)

劇作・演出の田辺剛さんに聞く:
Q 観客に最も伝えたい部分はどんなことですか?
A わたしたちの生が成果主義のような数値によってその価値が測られ、また目標になっている現代において、例えば演劇そのものの必要性など数値化できない価値をもう一度考え直す機会にこの作品がなればと思います。
Q 今回のアジアツアーでの収穫はどのようなものでしたか?
A 文化や趣向が違う海外の観客の前で上演することによって、自分の作品をより客観的に見つめる機会になりました。また香港や中国の関係者とのつながりができて再度の海外公演への足がかりができました。