アーツサポート関西 成果報告会2017
2017年9月20日
ASKは今年4年目を迎え、おかげさまで本年度中にみなさんからお寄せいただいた寄付の累計が1億円に達する見込みです。これまでのASKの取り組みをご支援いただいた方々にご報告する「成果報告会」が、8月21日、中之島センタービルの関西経済連合会の会議室で行われました。会場には、平日の昼間にもかかわらず150人以上の方々にお越しいただき、ASKの支援を受けた団体やアーティストたちが語る助成活動の話に耳を傾け、関西から世界に羽ばたこうとするアーティストたちのパフォーマンスを楽しんでいただきました。
前半のトークコーナーでは、若手噺家として今、ノリに乗っている、桂雀太さんを聞き手にお迎えし、ASKの支援を受けた方々のお話を伺いました。ASKは2014年から若い方々に文楽に親しんでもらう取り組み「ワンコインで文楽」を支援していますが、この活動に関わる文楽技芸員を代表して豊竹咲甫太夫さんにお越しいただき、大学生など普段あまり文楽と接点のない若者たちが文楽に興味をもつようになった様子などをお話いただきました。咲甫太夫さんは、来春、竹本織大夫を襲名する予定で、その応援にオペラ歌手の奥様、増田いずみさんも駆け付け、和と洋の双方で活躍するご夫婦によるお子さんへのユニークな接し方などを、聞き手の雀太さんがユーモアたっぷりに聞き出し、会場は大きな笑いに包まれました。また40歳以下の若手芸術家たちを支援する「岩井コスモ証券ASK支援寄金」から助成を受けたアーティストとして、日本を代表するクラシック・アコーディオン奏者の松原智美さん、そして国際的なソロ・ヴァイオリン奏者を目指す周防亮介さんにご登場いただき、これまでの活動や今後の展望などについて語っていただきました。
つづいて、アートを活用した社会的な取り組みの事例紹介として、堺市にある耳原総合病院におけるホスピタルアートの活動について、NPO法人アーツプロジェクト理事で同病院にてアートディレクターを務める室野愛子さんにご講演をいただきました。アートと医療行為のいずれもが、人を癒すものであり、病院の中にアートがあることで患者さんの意識が変わり、また医師や看護師たちもアートの活用に積極的に取り組んでいる様子をご紹介いただきました。
後半のコンサートでは、松原智美さんのアコーディオンの独奏のほか、ASKの支援で練習場の確保が可能となった羽曳野少年少女合唱団に登場していただき、松原さんのアコーディオンの伴奏による合唱に続いて、「舞描」と呼ばれる、身体のダンス的な要素を盛り込んだライブペインティングを行うアーティスト鉄秀さんとのコラボレーションを披露していただきました。厳かな宗教曲を歌う児童合唱団の清らかな歌声に合わせて、鉄秀さんが舞台に置かれた大きな画面に体全体を使いながら絵を描いていくと、会場の参加者たちはペインティングの前衛性と子供たちのピュアな歌声とがひとつに融合していく様に魅入っていました。
桂雀太さん(右)と咲甫太夫さん、増田いずみさんご夫妻(左)
羽曳野少年少女合唱団と鉄秀のライブパフォーマンス