「第2回人形浄瑠璃 文楽夢想 継承伝」が開催されました
2022年8月15日
昨年にひきつづき、若手とベテランが通常の枠を超えた配役で演じる文楽における画期的な取り組、「人形浄瑠璃 文楽夢想 継承伝」の第2回目の公演が、2022年8月6日、国立文楽劇場で開催されました。
この「文楽夢想 継承伝」は、文楽の若手技芸員の方々が自ら、クラウドファンディングやアーツサポート関西の助成金を申請するなどして資金を集め、会場をおさえ、そして先輩の方々にかけあって協力をお願いし、企画を行っているものです。昨年行われた第1回目は、その活動が高く評価され「関西元気文化圏賞」特別賞を受賞しました。
「『文楽』の世界は長い長い修行を必要とする芸能であります。そしてそれはお稽古だけでは培われない、本番の舞台、生のお客様にご観劇いただいての舞台があってこその修行だと考えております。師匠先輩方にご協力いただき舞台共演による芸の継承を目的とした自主公演を企画いたしました。」
これはこの公演を企画した若手技芸員の言葉です。未来の文楽をになう技芸員の方々が、主体的に考え行動し、実施していることに大きな意味があるように思います。
今回の第2回目の公演は、更に内容が充実し、より文楽の魅力がつたわってくるような演目でおこなわれました。太夫と三味線の組み合わせでは、普段組めない格上と若手がペアとなり、また人形では、若手が主使いをにない、ベテランが普段は若手が担当する左遣いに奮闘します。
昼の部の最初の演目「二人三番叟」では、若手人形遣い吉田玉征さんの主使いに対して、師匠で文楽界の重鎮 吉田玉男さんが玉のような汗を流しながら、必死になって左遣いに徹した演技を見せました。普段とは逆の立場で、弟子と師匠が入れ替わり、一体となって演技を行う姿は、ほほえましくもあり、また同時に、将来の文楽の振興と発展を予見させてくれる頼もしさも感じました。
この「文楽夢想」の取り組みは、今後もぜひ継続していってもらいたいと思います。
写真撮影:桂 秀也