「文楽夢想 継承伝」の開催
2021年8月20日
若手の技芸員たちに経験を積ませることを目的に、若手とベテランが通常の枠を超えた配役で演じる文楽初の試み「文楽夢想 継承伝」が、文楽の人形遣いの吉田玉翔さんを中心とする文楽技芸員たちの手によって企画され、2021年8月7日、国立文楽劇場で開催されました。
この公演は、太夫および三味線では若手がその曲の中心となる「シン」をつとめ、先輩がサポート役のスソに回り、人形遣いでは、師匠と弟子、そして親と子の共演となるなど、通常では見られない配役で、まさに若手がベテランに挑む緊張感ただよう舞台となりました。
途中、先日人間国宝となった桐竹勘十郎さんとベテランの吉田玉男さんのお二人に当協会理事長の﨑元が加わり、この取り組みの意義を語る場面もありました。
演目は、「二人三番叟」で、桐竹勘十郎さんと弟子の勘介さんがぴったりと息のあった踊りを披露し、「傾城阿波の鳴門 巡礼歌の段」では母と娘を実の親子である吉田一輔さんと蓑悠さんが親子の別れを情感たっぷりに描き、最後の「五条橋」では、吉田玉男さんが牛若丸を、弟子の玉路さんが弁慶を演じ、師弟の見事な連携で五条橋での弁慶・牛若丸の激しい戦いの場を見事に演じ切りました。
この公演を企画した吉田玉翔さんは、今後もぜひこの取り組みを続けていき、若い技芸員たちの一つの目標としていきたいと語っていました。