「バレエで音楽を描く ー 継往開来」が開催されました
2021年11月17日
本年度ASKが支援するピアニストの乾将万さんが2年越しで企画したコンサート「バレエで音楽を描く ー 継住開来」が、11月3日に兵庫県芸術文化センター阪急中ホールで開催されました。
乾将万さんは、1991年大阪府茨木市生まれの若手新進気鋭のピアニストで、大阪音大大学院を経て、ハンガリー政府給付奨学生としてハンガリー国立リスト音楽院に学びました。現在は茨木市を拠点に演奏活動を行うほか、自ら様々な演奏会を企画するなど、ピアニストのみならず幅広く活躍されています。
「バレエで音楽を描くー継往開来」は、バレエと音楽を融合させる取り組みとして、「ダンスの振り付けや身体的な動きによって音楽の可視化」を目指そうとしたものです。単に音楽に合わせてバレエを踊るのではなく、音楽が音によって描き出す何かをダンサーがとらえて身体で表現する ― そのような解釈ができるかも知れません。前半に演奏された「オンディーヌ」は、久保田洋子が本公演のために書き下ろした作品で、人間に恋をし悲しい運命をたどる美しい水の精霊の物語を音楽と踊りが描き出します。全体的に音楽とバレエが調和しながら進んでいくオーソドックスなバレエ曲の体裁の作品となっています。後半のストラヴィンスキーの「春の祭典」は、終始、前衛的で抽象的なイメージが前面に表現された作品で、随所に、身体的な動きによる音楽の可視化を思わせる場面が見て取れました。
この公演のリハーサルは、2019年12月から始まり、月3~5回のリハーサルを続けながら行ったリハーサルは100回近くに及ぶそうです。タイトルにある「継往開来」とは、先人の文化を継承し未来を開くという意味を持つ言葉で、そこに乾さんをはじめ若い演奏家たちの意気込みが感じられます。これからの若い演奏家やバレエダンサーの方々の活躍にぜひ期待したいと思わせられる、力強いメッセージが込められた舞台でした。