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お知らせ

【視察報告】モンゴルズシアターカンパニー(演劇)
2016年8月4日

H28年度 助成対象事業・視察報告

暗いテーマながらもスタイリッシュな仕上がり

モンゴルズシアターカンパニープロデュース 「鼠-2016-」


モンゴルズシアターカンパニーは、特定の団員を持たず、公演ごとにふさわしいメンバーを配置するという方法で、様々な場所で公演を行うユニットです。「鼠-2016-」は2015年日本劇作家協会主催の短編演劇祭「劇王天下統一大会2015」で唯一関西代表に選ばれて上演された作品「鼠」を、若手演出家の雄―笠井友仁を迎えて長編作品として再編成されたものです。

会場は大阪市中崎町のイロリムラプチホール。入ってまずその小ささに驚かされます。舞台には大道具はなく、小さなホワイトキューブに約20名程度の客席がひな壇に設けられていました。大きな劇場では表現できなかった地下鉄のホーム下の雰囲気を演出するために、この劇場が選ばれたようです。前回の公演で400名もの来場者があったこともあり、公演は2週間に及び全18回上演されました。会場は満席。

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ストーリーは、ある春の日の午後、ラッシュ時を過ぎた地下鉄のホームでの飛び込み自殺による非常制御スイッチ起動での停電した3分後から始まります。舞台は駅のホーム下の退避場所。駅員2人の会話劇として構成されており、それぞれの駅員の関係性や過去が次々に明らかになっていきます。

エピソードを少し盛り込みすぎの感はありましたが、もともと駅員1が運転士をしていたこと、駅員2の弟が飛び込み自殺を図ったことなど、とりとめのない会話の中からそれぞれの現在・過去が浮かび上がります。そして、タイトルとなる「鼠」のエピソードも。

演出を手掛けた笠井友仁は「空間」「身体」「音」にこだわった独特の世界観をもつと評され、小さなホワイトキューブをうまくホーム下の空間へとしあげており、また文字や影が効果的に使われていました。

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公演終了後は、隣のカフェでささやかな交流の場がセッティングされており、観劇後にお客さん同士、またはお客さんと演出家、脚本家、出演者などとの意見交流ができる仕組みになっていました。

「あの場面がおもしろかった」「前回と今回では何がちがったのか?」「あの場面での演出はわざとなのか?」など、様々な会話や意見が酌み交わされていました。

鑑賞の場とこのような交流の場を同時に設けることで、様々な人々との交流や繋がりが生まれ、より演劇に対する造詣が深まることになることでしょう。

パトロンプログラムにご参加いただいたサポーターの方々も、代表の増田さんとの間に様々な会話が生まれていたようです。単にその劇団との交流だけでなく、関西の演劇界の発展にも繋がる素晴らしい試みだと思いました。

◆サポーターズ・クラブの皆様にパトロンプログラムとして参加いただける事業もあります。メールで案内しますので、興味のあるプログラムには、是非お申込みください。

公益財団法人 関西・大阪21世紀協会


アーツサポート関西 事務局 柳本牧紀